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東京地方裁判所 平成2年(ワ)14887号 判決 1992年7月24日

原告

乙川春子

右訴訟代理人弁護士

山下幸夫

平成二年(ワ)第二二六〇号事件被告

右代表者法務大臣

田原隆

右指定代理人

渡邊和義

外二名

平成二年(ワ)第二二六〇号事件被告

東京都

右代表者知事

鈴木俊一

右指定代理人

小林紀歳

外三名

平成二年(ワ)第二二六〇号事件被告

小嶋了一

平成二年(ワ)第二二六〇号事件被告

飯田順

平成二年(ワ)第一四八八七号事件被告

加藤富男

右三名訴訟代理人弁護士

山下卯吉

武藤正敏

福田恆二

主文

一  被告東京都は原告に対し金一〇万円及びこれに対する平成元年一一月八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告の被告東京都に対するその余の請求並びに被告国、同小嶋了一、同飯田順及び同加藤富男に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、原告と被告東京都との間に生じた費用についてはこれを五分し、その四を原告の、その余を被告東京都の負担とし、原告とその余の被告との間に生じた費用については全部原告の負担とする。

四  この判決は第一項に限り、仮に執行することができる。ただし、被告東京都が金三万円の担保を供するときは、右仮執行を免れることができる。

事実

第一  原告の請求

一  平成二年(ワ)第二二六〇号事件

被告らは原告に対し、各自金一〇〇万円及びこれに対する平成元年一一月八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  平成二年(ワ)第一四八八七号事件

被告は原告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成元年一一月八日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、他人の被疑事件に関し、司法警察員による自室の捜索差押処分を受けた原告が、右捜索差押処分は令状請求の時点からその要件を具備せず、また、捜索差押に際してもその範囲を超える執行がされた違法なものであり、さらに、捜索差押に至る過程において司法警察員により原告に対して違法な行為があったとして、東京都、司法警察員及び国に対して損害賠償を請求している事案である。具体的には、右捜索差押許可状発付の請求、捜索差押の執行及びそれに至る過程における行為について、東京都に対し、国家賠償法一条一項に基づいて損害賠償を、捜索差押の執行及びそれに至る過程における行為について右行為に携わった司法警察員に対し、民法七〇九条、七一〇条に基づいて損害賠償を、裁判官による右捜索差押許可状の発付について、国に対し、国家賠償法一条一項に基づいて損害賠償をそれぞれ請求している。

一  争いのない事実等

1  当事者

原告は、平成元年一一月八日に司法警察員による捜索差押処分(以下「本件捜索差押」という。)を受けた者であり、被告小嶋、同飯田及び同加藤は、被告東京都の公務員で、警視庁滝野川警察署(以下「滝野川署」という。)所属の司法警察員であり、本件捜索差押を執行した者である。

2  本件捜索差押に至るまでの経緯

被告東京都の公務員である滝野川署所属の司法警察員は、平成元年一一月二日、東京北簡易裁判所裁判官に対し、甲に対する建造物侵入未遂被疑事件(以下「本件被疑事件」という。)について、差押さえるべき物を本件被疑事件犯行を計画したメモ類並びに被疑者の生活状況を示す預金通帳、領収証、請求書、金銭出納帳及び日記帳、捜索すべき場所を甲方及び東京都北区<番地略>○○荘二階一号所在原告方とする捜索差押許可状の発付を請求し(以下「本件令状請求」という。)、同日、被告国の公務員である同裁判所裁判官は、捜索差押許可状(以下「本件捜索差押許可状」という。)を発付した。本件令状請求の際に添付された疎明資料は、甲を軽犯罪法違反で逮捕したときの現行犯人逮捕手続書(<書証番号略>)、捜索差押調書(<書証番号略>)、目撃者の供述調書、犯罪歴照会結果報告書、甲が本件被疑事件で逮捕されたときの逮捕手続書及びその逮捕状(<書証番号略>)、甲の供述調書、被害届、被害者の供述調書、レンタカー会社従業員の供述調書並びに原告及び原告方のアパートの大家からの各事情聴取報告書であった(小嶋供述八五頁)。

原告は、平成元年一一月八日午後一時過ぎに、本件被疑事実により勾留されていた甲に面会するため滝野川署を訪れたが、面会後の同日午後一時四〇分過ぎころから、滝野川署刑事課相談室において被告小嶋、同飯田及び同加藤と会い、被告小嶋から本件被疑事件捜査に対する協力を求められた。原告は、被告小嶋の申出を拒否して帰宅した。その後、同日中に原告は再度滝野川署を訪れ、甲に対する差入れをした。

3  本件捜索差押の状況

同日午後三時ころ、被告小嶋、同飯田及び同加藤ら滝野川署司法警察員四名は、捜索差押処分の執行のため、右執行の立会人として要請した東京消防庁滝野川消防署職員荒井忠を同道して原告方に赴いた。被告小嶋ら司法警察員が原告方のドアをノックしたところ返事がなかったので、予め大家から借りていた合鍵を使用してドアを開け、その後、荒井を立会人として、原告方を捜索し、別紙押収品目録記載の物件(以下「本件押収物」という。)を差し押さえ、別紙写真撮影目録記載の物件(以下「本件撮影物件」という。)に対し数回にわたって写真撮影を行った。

二  争点

1  本件令状請求の違法性(被告東京都の責任)

2  本件捜索差押許可状発付の違法性(被告国の責任)

3  本件捜索差押に至る過程での違法行為の有無(被告東京都の責任)

4  本件捜索差押の執行の違法性(被告東京都の責任)

5  本件捜索差押の執行及びそれに至る過程における司法警察員の行為について行為者個人の責任の存否(右の3及び4の行為についての被告小嶋、同飯田、同加藤の責任)

三  争点に関する当事者の主張

1  原告

(一) 争点1について

被疑者以外の第三者の住居に対する捜索差押は、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り行うことができ(刑事訴訟法二二二条一項、一〇二条二項)、捜査機関が裁判官に対して右令状の発付を請求するに際しては、差し押さえるべき物の存在を認めるに足りる状況があることを認めるべき資料を提供しなければならない(刑事訴訟規則一五六条三項)。したがって、捜査機関が第三者の住居に対する捜索差押許可状発付の請求をするには、当該第三者と被疑者との間に関連性があり、右第三者の住居等に被疑事実に関する証拠物が存在する高度の蓋然性があることの疎明資料を提供することが要求され、かつ、被疑事実の証拠として差し押さえることにつき必要性が十分認められるものでなければならないと言うべきである。

本件では、甲が犯行当時使用していたレンタカーの借受名義人が原告であり、本件以外に甲を伴ってレンタカーを借りた事実はあるが、その回数は二、三回であるし、甲が警察官に対し原告と結婚を考えて付き合っていると言ったとしてもそれだけで原告方に本件被疑事件に関する証拠物が存在する状況が立証されるわけではなく、また、甲が自分の住所を言えないにもかかわらず原告方の住所を言えたのは、甲が引っ越したばかりであったからであり、さらに、原告が甲に差し入れた洗い晒しの下着は原告の息子のものであり、原告方に出入りしていたのも甲ではなく息子であったのであるから、原告方に本件被疑事件にかかる「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」があったとはいえず、本件捜索差押は要件を欠く違法なものであった。

(二) 争点2について

本件令状請求に際して添付された前記疎明資料のうち、原告方に「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」に関するものは、レンタカー会社従業員の供述調書並びに原告及び大家からの事情聴取報告書だけである。特に、重要と思われる原告及び大家については供述調書ではなく、事情聴取報告書にとどまるものであり、これらの資料をもって、右要件を疎明するということはできず、本件捜索差押許可状を発付した裁判官の行為は違法である。捜索差押許可状の発付の請求を受けた裁判官は、当該請求に捜索差押の理由と必要があるか否かについて、慎重に審査し判断すべき注意義務があるにもかかわらず、本件においては、右注意義務を怠り、漫然と本件捜索差押許可状を発付した。

そして、裁判官の捜索差押許可状の発付行為を国家賠償法一条一項の適用上違法であるというためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いて行使したと認められる特別の事情があることが必要である旨被告国は主張するが、右特別の事情が必要とされているのは、争訟の裁判の場合においてであり、捜索差押許可状発付などの権利又は法律関係の存否の終局的確定を目的としない行政的性格を有する判断作用の場合には必要ではないというべきである。

(三) 争点3について

① 平成元年一一月八日に原告が被告小嶋らと滝野川署刑事課相談室において面談した際、被告小嶋から供述調書作成の協力を求められ、原告がそれを断ると、被告飯田が「何で書かないんだ。」「書かないんだったら共犯だ。」などと怒鳴ったり、二、三回机を叩いたりした。そして、原告が帰ろうとすると、被告小嶋、同飯田、同加藤らが相談室の入口の前に立って、原告が帰るのを妨害した。

これは、任意であるべき参考人の取調べの範囲を逸脱した脅迫行為であって、違法な行為である。

② 原告が右面談後に滝野川署を出て原告方に帰宅する際、滝野川署の警察官が原告を尾行し、原告がバスで駒込駅まで行き、しばらく歩行した後に「尾行しても無駄よ。」というまで、右尾行は続けられた。

右行為は、原告のプライバシーを侵害するとともに、原告を威迫するものであり、任意捜査の範囲を遥かに逸脱した違法な行為である。

③ 右同日、原告が滝野川署に再度行って原告方に戻ってくると、自宅近くの道路上で、黒塗りの警察の車が停車し、その中で警察官四人が原告方を見張っていた。

これは、原告のプライバシーを侵害するとともに、原告を威迫する違法な行為である。

(四) 争点4について

① 原告方の開扉について

本件捜索の開始に際して、被告小嶋らは、原告方の部屋のドアを二回ノックしただけで、名前を呼ぶことなく、予め大家から借りて用意していた合鍵で原告方のドアを開けている。

右行為は、当初から原告がドアを開けることを期待せず、鍵を開けて入ることを予定して行われたもので、極めて乱暴な方法であり、違法な行為である。

② 立会いについて

刑事訴訟法上、捜索には立会人が必要であるとされているところ、本件捜索差押での立会人である荒井は、本件捜索差押開始後約三〇分は原告方の外の共同廊下におり、その後、原告方に入った流しの前に立っていたが、その場所からはのれんの影でほとんど部屋の中が見えない状態であった。

立会いは違法な捜索差押を監視するためのものであり、捜索差押状況を十分に把握できない右立会いはこの趣旨に反し、このような不十分な立会いの下で行われた本件捜索差押は違法なものというべきである。

③ 差押えの対象となった物について

刑事訴訟法上、押収すべき物は「証拠物または没収すべき物と思料される物」に限定されるところ、本件押収品は、いずれも本件被疑事件に関し、右要件に該当せず、右差押えは違法である。

④ 写真撮影について

本件捜索差押に際し、被告小嶋及び同加藤の指揮により、滝野川署所属警察官によって本件撮影物件の写真撮影が行われたが、これらの物件は、捜索差押許可状に記載されていない物であり、また、右写真撮影は、対象となった物を元にあった場所から移動して、床やテーブルに並べて撮影したものであり、捜索差押許可状による捜索差押の範囲を完全に逸脱する違法なものである。

捜索差押に際して写真撮影は、捜索差押手続きの適法性を担保するために執行状況を撮影する場合、又は、証拠物の証拠価値を保存するために、証拠物をその発見された場所・状態において撮影する場合に、捜索差押に付随する処分として許されると解されているが、本件での写真撮影は右のいずれにも該当しない。そして、捜索差押に際して写真撮影をする警察官には、撮影対象が差押えるべき物に該当するかどうかにつき、十分に吟味検討すべき義務があるというべきであるが、本件では右注意義務を怠った過失がある。

(五) 争点5について

公務員の違法行為が認められ、国又は地方公共団体が国家賠償法一条の損害賠償義務を負う場合、当該公務員個人も被害者に対して直接不法行為責任を負うかどうかは、明文の規定がなく解釈に委ねられているところ、民法においては、不法行為をした機関又は被用者自身の被害者に対する直接責任を認めているのであるから、公務員に限って異なる扱いをする理由はなく、国家賠償法一条二項が民法七一五条の場合と異なり加害公務員が軽過失である場合求償権の行使を制限していることをも考慮すれば、少なくとも故意又は重過失による違法行為の場合は、公務員個人に対する直接責任の追及が可能であると解すべきである。さらに、公務員が職務の執行に藉口して故意に越権行為をし、あるいは私心を満足させるため私人に損害を加えた場合であれば、これは本質的には、公務員の個人的な不法行為であって、公務員自身は直接不法行為責任を負うものであり、本件捜索差押の執行及びこれに至る過程における被告小嶋、同飯田、同加藤の行為は右に該当するからいずれも個人として原告の被った損害を賠償する義務がある。

2  被告東京都

(一) 争点1について

本件被疑事件に関する捜査経過及び状況からすると、甲が本件被疑事件の犯行当時使用していたレンタカーについては原告が甲を伴って借りており、右以外にも五回にわたり原告が甲を伴ってレンタカーを借用しているなど、原告が何らかの形で甲に協力をしている疑いが認められると共に、甲が捜査官に対して原告とは大人の付合いをして将来結婚を考えており、原告の両親、息子とも会っているなどと供述したこと、甲は自分の住所も言えないのに原告方の住所を言って下着の差入れを要望していたこと、右差入れについての甲の伝言をまだ連絡していないうちに原告が甲に下着の差入れを行ったこと及び一人暮らしの原告のもとに三か月ほど前から甲が頻繁に出入りし、原告方には男物の洗濯物が干してあり、出入口にも男物の靴が置いてあったことが原告方への調査により認められたことからして、原告と甲は単なる友人同士ではなく、相当深い関係にあり、いわば、原告方は甲の生活拠点であると認められたので、原告方には、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況が存在すると判断したものである。

したがって、本件令状請求は何ら違法なものではない。

(三) 争点3について

① 平成元年一一月八日に滝野川署刑事課相談室で被告小嶋らが原告と面談した際、被告小嶋は原告方に対する捜索差押令状が出ているので立会うことを要望したが、原告は「捜索は認めない、見せる必要はない、甲の事件には何の関係もないので立会う必要もない。」などと申し立て、相談室を出ていったのであり、被告飯田が原告に対して怒鳴ったり、机を叩いたりしたことはなく、また、被告小嶋らが原告が相談室から出るのを妨害した事実もない。

② 原告が右面談後に滝野川署を出て自宅に戻る際、滝野川署の警察官が、原告を尾行した事実はない。

③ 原告が右同日甲に差し入れをして原告方に戻った際、原告方近くの道路上に警察官ら四名が乗車した黒塗りの乗用車が停車していたが、車内にいた警察官らは原告方を見張っていたわけではない。

(四) 争点4について

① 原告方の開扉について

本件捜索の開始に際しては、被告小嶋が原告方ドアを叩きながら原告に声をかけたが、室内からは何の応答もなかったため、予め大家から借りた合鍵を使用して右ドアを開けたものである。したがって、何らの違法な行為は認められない。

② 立会いについて

本件捜索差押に立ち会った荒井は、終始原告方居室内にいて、本件捜索差押の推移を見分していたのであって、その立会いに何ら違法な点はない。

③ 差押えの対象となった物について

本件押収品が、差押さえるべき物として本件捜索差押許可状に記載されていた物に該当することは明らかである。

④ 写真撮影について

捜索差押の際に、捜査機関が、証拠物の証拠価値を保存するために証拠物をその発見された場所、発見された状態において写真撮影することや、捜索差押手続の適法性を担保するために、その執行状況を写真撮影することは、捜索差押に付随するものとして許されるのであり、例外的に、令状主義を潜脱する目的をもって捜索差押許可状に記載されていない物品の内容を撮影するなどして、捜索差押の目的物となっていない物品を差し押さえたのと実質的に異ならない結果をもたらしたときに、当該写真撮影は違法になるものと解すべきである。そして、右違法になる場合とは、被写体自体の大きさ及び物性よりも、その上に記載された情報が意味を有する場合をいうものと解すべきである。

本件捜索差押については、被告小嶋らが事前にこれに立ち会うことを依頼した際に原告が捜索自体を拒否する態度であったこと、開始時の被告小嶋の呼び掛け及びノックに対しても原告は無視したこと並びに開始後には度々執行に対する抗議等を行っていたことから、後日その許可状の請求及び執行の適否に関する争訟事案が発生するであろうと考えられたので、捜索差押許可状の呈示及び押収品目録交付書の交付等の法定手続が履践されたこと、差押物以外の物件に関する紛失ないし汚損が行われなかったこと等の執行手続の適法性を担保するとともに、居室内の全体的状況ないし状態との関連で、差押物の所在、状況ないし状態等を明らかにして、差押物の証拠価値の保全等を行う目的から、所要の写真撮影を行い、その一環として、本件撮影物件の撮影も行われたものである。また、本件撮影物件は、証拠物の証拠価値を保存するために撮影された写真に写っている物及び甲名義の物品あるいは甲の所有と認められる物品の外形を概括的に撮影しているものであって、そのものに記載された情報が意味を有する場合に当たらないことは明らかである。

仮に、本件での写真撮影が刑事訴訟法上違法と評価されるものであったとしても、本件撮影物件はいずれも甲の所有にかかるものであるから、右物品を写真撮影したことによって、原告のプライバシーが侵害されたということはできない。

3  被告小嶋、同飯田及び同加藤

(一) 争点3及び4について

被告東京都の主張のとおり。

(二) 争点5について

地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には、当該公共団体がその被害者に対して賠償の責めに任じ、公務員個人はその責めを負わない。

被告小嶋、同飯田及び同加藤は、被告東京都の公権力の行使に当たる公務員であって、その職務として、原告と接触し、本件捜索差押を実施したのであるから、右行為に原告主張の違法行為があったとしても、被告東京都が原告に対する損害賠償責任を負担するのであって、被告小嶋ら個人が、直接原告に対する損害賠償責任を負うものではない。

4  被告国(争点2について)

裁判官の捜索差押許可状の発付行為が国家賠償法一条一項の規定の適用上違法であるというためには、単に右発付行為について刑事訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するというだけでは足りず、当該裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする。

原告の主張は、右の点においても、また、注意義務違反の特定の点においても、具体性を欠いており、失当であって、本件捜索差押令状の発付に違法な点はない。

第三  争点に対する判断

一  争点1(本件令状請求の違法性)について

1  捜査機関は、犯罪の捜査をするについて必要があるときに、裁判官の発する令状により差押、捜索又は検証をすることができるが(刑事訴訟法二一八条一項)、被疑者以外の者の住居等に対する捜索については、特に、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り行うことができるとされている(同法二二二条、一〇二条二項)。したがって、具体的な被疑事実が存在し、その捜査に関して、当該場所に押収すべき物の存在する蓋然性が認められる場合に初めて、被疑者以外の第三者の住居についての捜索が許される。

2  本件における具体的な被疑事実の存在については、被告らは本件被疑事件の存在をもって右要件を具備するものであると主張し、原告も特にこの事実を争わないと認められるので、本件の捜査場所である原告方に、甲の本件被疑事件に関する証拠物が存在する蓋然性が認められたかどうかを検討する。

まず、甲が本件被疑事件犯行当時使用していたレンタカーは原告が甲を伴って借りており(争いがない。)、原告は本件を含め六回トヨタレンタリース巣鴨営業所からレンタカーを借り、そのいずれも甲を伴っていることが認められる(<書証番号略>)。また、①被告小嶋が滝野川署に出頭してきた原告から事情を聴取した際、原告は、甲とは平成元年春頃知り合い、時々一緒に飲食する程度の付合いで、原告方に同人が来訪したこともない、レンタカーついては本件を含め三回借りたが、いずれも自分一人で借りた、平成元年一〇月二九日はレンタカーで甲と一緒に友人の家に行き、自分が飲酒してしまったので、帰りは甲が運転して翌三〇日午前一時か二時ころ新宿で別れた旨を話したが、供述調書の作成には応じなかったこと(小嶋供述二ないし六頁)、②平成元年一一月一日に被告小嶋が甲を調べたところによると、甲は、原告と結婚を考えて大人としての付合いをしていること、原告の両親や息子とも会っていることなどを話したが、供述調書に録取することは拒否し、その一方で原告に対し下着等を差し入れてもらいたい旨連絡してほしいと原告方の住所、電話番号を告げて小嶋に依頼したこと(小嶋供述七、八頁)、③被告小嶋が甲からの右伝言を連絡する前である右同日午後一時三〇分ころ、原告が滝野川署を訪れ、甲に洗い晒しの古い下着等の依頼の差入れを行ったこと(小嶋供述九、一三頁)及び④滝野川署が原告方のあるアパートを捜査したところ、同アパートの大家が、原告方には三か月前位から甲が出入りしており、原告方には男物の下着類が干してあったりあるいは共同玄関に甲の物と思われる靴などがあったこと、原告方に家賃を取りに行った際原告から息子であると紹介を受けた男性がおり、年令が原告に近いからおかしいと思っていたことを供述したので、右大家に写真面割りをした結果右男性は甲であったことが判明したこと(小嶋供述一一頁)、以上の事実が認められ、右認定に反する原告本人の供述部分及び原告作成の供述書の該当部分は、原告の従前の口頭弁論における主張とくい違い、あるいは、相互に矛盾するなど信用性に乏しいので採用できない。

右認定の事実によると、原告と甲が親密な関係にあることが認められ、特に差し入れられた洗い晒しの下着が甲の物であるか原告の息子の物であるかは必ずしも明らかではないものの、原告から甲のものと推認される下着が差し入れられたこと、原告方に甲が訪れていたこと及び甲が自分の住所を言えないにもかかわらず原告方の住所を言えたことからすると、原告方に甲の生活の本拠ないし拠点があるとの疑いを持つことができ、本件被疑事件の犯行当時甲が使用していたレンタカーについて原告が借受人であることも併せて検討すると、原告方に本件被疑事件に関連する物、あるいは、その背景事情に関連する物の存在する蓋然性を認めることができる。したがって、原告方に本件被疑事件の証拠物が存在する蓋然性が本件令状請求当時存在していたということができる。

3  以上によれば、原告方に対する本件捜索差押令状の請求には何ら違法な点はなく、したがって、これが違法であるとして被告東京都に対し国家賠償法に基づいて損害の賠償を求めることはできない。

二  争点2(本件捜索差押許可状発付の違法性)について

被疑者又は被告人以外の者の住居その他の場所において捜索差押をするために捜索差押許可状の発付を裁判官に請求する際は、当該捜索場所として請求する場所に差し押さえるべき物の存在を認めるに足りる状況があることを認めるべき資料を提供しなければならない(刑事訴訟規則一五六条三項)。そして、右令状発付請求を受けた裁判官は、提出された疎明資料から当該捜索差押が刑事訴訟法で定める右要件を欠いていないかを判断することになる。

そこで、本件捜索差押許可状の発付について検討すると、本件令状請求の際に添付された疎明資料は前記のとおりであり、このうち、原告方に本件被疑事件の証拠物が存在する蓋然性を示す資料としては、レンタカー会社の従業員の供述調書並びに原告及び原告方のアパートの大家からの各事情聴取報告書があるが、その内容は、前記争点1において認定した事実のとおりであることが弁論の全趣旨から認められる。

そうすると、本件令状請求に際して、担当裁判官に対して提出された証拠資料から原告方に本件被疑事件の証拠物が存在する蓋然性があると認めることができ、したがって、裁判官の本件捜索差押許可状の発付行為に違法な点は認められない。

三  争点3(本件捜索差押に至る過程での違法行為の存否)

1  まず、平成元年一一月八日に原告が被告小嶋らと滝野川署刑事課相談室において面談した際のやりとりについては、被告小嶋らが原告に供述調書作成の依頼をしたかどうかの点で原告及び被告からの主張が異なるところ、同年一〇月三一日に原告が滝野川署を訪れた際、被告小嶋が原告に対し供述調書作成の依頼をして拒否されたことが認められるが(小嶋供述五頁)、原告の供述は原告と甲との関係を示すために必要とされるものであると考えられ、それは、結局、甲の本件被疑事件に関して原告方に捜索差押を行うに当たって要求されるものであると解される。そして、本件捜索差押許可状は同年一一月二日の時点ですでに発付されていること及び同月三日に実施した甲方の捜索差押の結果によって滝野川署は原告方に対する捜索差押を実施する必要性が高いと判断をしていたことからすると、一一月八日の時点では、原告方に対する捜索差押のために原告に供述調書作成を依頼する必要性は特になかったと解され、また、同日被告小嶋らが原告から事情聴取をしていないことは原告自身供述するところである(一〇回六四頁)。他方、被告東京都主張のように、原告方に対する捜索差押の実施を決定していた滝野川署がこの時点で原告に立会いを求めることには、十分合理性が認められる。以上からすると、被告小嶋らが一一月八日に脅迫的言動をもって供述調書作成を迫ったとする原告の供述部分(一〇回一八〜二〇頁)は直ちに信用することはできず、他に、脅迫的言動をもって供述調書作成を原告に迫ったことを認めるに足りる証拠はなく、結局、右事実を認めるに足りる証拠はないといわねばならない。

また、原告が右同日相談室から出ようとした際、被告小嶋、同飯田、同加藤らが、原告が帰るのを妨害したという事実については、被告小嶋らが入口付近に立っていたとしても、原告に触れるなどした事実は認められず(原告供述一〇回六九頁)、現に原告はすぐに相談室から退出しているし(原告供述一〇回二二頁)、他に原告を阻止したような事実を裏付ける証拠はなく、以上によれば、右同日、滝野川署において原告が主張するような任意性を害する行為がされた事実を認めることはできない。

2  滝野川署の警察官が原告を尾行していたことについては、これに沿う原告の供述及び原告の陳述書(<書証番号略>)があるが、原告は、一方でタバコ屋のところで原告が尾行していた男に対し尾行しても無駄だと言ったらその男が去っていったと供述し(一〇回二六、二七頁)、他方で自分のアパートまで付いてきたと述べる(<書証番号略>)など、その内容があいまいであり、これら原告の供述をもって、右事実を認めることはできない。

3  平成元年一一月八日に原告が滝野川署に差し入れをしてから原告方に戻って来た際に警察の車が原告方を見張っていたとの点は、原告方の側に警察の車が停車していたことは争いがないものの、原告方を見張っていたとの点は原告がそのように思ったとの原告の供述以外にそれを裏付ける証拠がなく、右供述をもって右事実を認めることはできない。

4  以上によれば、本件捜索差押に至る過程において、被告小嶋、同飯田及び同加藤ら滝野川署員によって原告に対し違法行為がされた事実を認めることはできない。

四  争点4(本件捜索差押の執行の違法性)について

1  原告方の開扉について

原告は、本件捜索差押を開始するに当たって、原告方のドアをノックしただけで名前を呼ばなかったこと及び合鍵を予め用意していたことをもって、原告方の開扉の点で違法な行為がされたと主張するが、捜索差押を実施する場合には、捜索差押を受ける者が捜索差押の開始を察知して証拠隠滅等の行為に出ることが十分予想され、捜査機関には開始後は迅速に行動を進めることが要求されることから、ドアをノックしてから在室者の反応を待つ時間的間隔は日常生活における場合に比較して短くて当然であり、また、ドアをノックして開錠のため合鍵を大家に求めていたのでは適正な捜索に支障を来すことが十分に考えられるから予めこれを準備をすることも捜索差押実施の準備として合理的であり、捜索差押処分に当然付随する行為であると解される。そうすると、本件において被告小嶋らが予め合鍵を原告方アパートの大家から借りた行為及び原告方の開扉に当たり、原告の名を呼んだかどうかはともかく、ドアを二回ノックし、原告の返事がなかった(この点は争いがない。)ので合鍵で開錠した行為は、いずれも捜査機関が捜索差押を実施するについて通常許される行為であるということができる。したがって、この点で被告らに違法な行為があったことを認めることはできない。

2  立会いについて

本件捜索差押において立会いが不十分であったとの主張については、立会人が最初の三〇分は原告方居室の外の共同廊下に居たとの点が弁論終結間際になって初めて主張されるなど、その主張自体に不自然なところがあり、その点に関連する原告の供述部分も、開始後三〇分たって原告が同人を招き入れたという一方で、本件捜索差押の様子をずっと見ていたとするなどあいまいで信用性に乏しく、また、原告方居室ののれんに遮られて捜索差押の状況は見えなかったはずであるとの主張についても、仮に原告が供述するような位置関係にあったとしても、右のれんはレース製のもので中が見えないとまで言うことはできない(原告供述一〇回七五、七六頁)のであり、全体としてこれを見ると、本件捜索差押の執行が適法な立会いを欠いた違法なものであると認めることはできない。

3  差押えの対象物について

本件押収品が本件捜索差押許可状に記載された押収すべき物に該当しないとの点は、本件押収品は、別紙押収品目録記載のとおりであり、いずれも甲の生活実態あるいは経済状態を裏付ける証拠となりうるもので、本件被疑事件について押収すべき物に該当すると認められ、この点に関し、違法は認められない。

4  写真撮影について

本件撮影物件に対する撮影方法についてみてみると、原告名義のUCカードの使用控え、原告の財布及び甲の手帳は、差し押さえた甲名義の預金通帳二通があったセカンドバッグに入っていたので、右バッグの中身を一括して床の上に並べて右預金通帳とともに撮影し、そのうち手帳については個別に発見時の状態、表紙をめくった状態を撮影したこと、引出しの中は、三段の引き出しの一段目及び二段目をそれぞれ開けた状態で撮影し、その中に入っていた甲名義の物及び同人所有と認められる物を床の上に並べて外形を撮影し、甲の財布、その財布の中にあった使用済み航空券、原告及び甲が被写体の写真、ポケットティッシュ、時計、ライター、ヒゲそり、甲名義の診察券・歯医者予約券並びに甲名義の印鑑を何点かずつまとめて撮影していること、冷蔵庫の中はドアを開けた状態で外形を撮影したこと、さらに、たんすの中及びその中にある背広は、扉を開けた状態で全体を撮影した後、背広の甲のネームが見えるように一部裏返した状態で外形から撮影したことが認められる(小嶋供述三七ないし四八頁)。被写体の個数について原告は右と異なる供述をするが、その供述部分は、原告の従前の主張と異なり、また、自ら作成した陳述書(<書証番号略>)の内容ともくい違うなど矛盾点が多く信用性に乏しいと考えられ、右認定を覆すものではない。

ところで、一般に、他人の目に触れない住居の内部の状況や所持品等の情報について、人はそれをみだりに他人の目にさらされない利益を有していると考えることができ、その利益はプライバシーとして法的保護に値する。したがって、適法な令状なしに住居の内部の状況や所持品等を写真撮影した場合は、原則としてプライバシーの侵害として違法性を有するものといわなければならない。もっとも、捜索差押手続きの執行に当たって、その適法性を担保するために執行状況を撮影し、あるいは、証拠物の証拠価値を保存するために証拠物を撮影するなどの写真撮影は、当然に住居の内部の状況や所持品等を撮影対象に含むことになるが、捜索差押手続きに付随して合理的な目的により相当な方法、程度において行われる限り、捜索差押に付随する処分として、特別の令状がなくとも適法性を有すると解される。しかし、この捜索差押の付随処分としての限界を超えて行われる写真撮影は、その性格としては物の存在及び状態を五官の作用により認識する処分である検証に該当するものと解されるから、別途検証令状なくしてこれを行えば違法となると解すべきである。確かに、少なくとも捜索に必要な限度においては住居の内部の状況や所持品等の情報は、捜索差押令状を執行する捜査機関に認識されることが許容されているのであるから、プライバシーの権利は制限されていると見ることができるのであるが、しかし許されているのは捜査機関がそうした情報を記憶にとどめるという限度においてであって、個人の記憶情報にとどめるべき限度を超えて写真撮影をすることは、当該情報を第三者が客観的に認識できる状況を半永続的に作出する点で、記憶情報とは質的に異なる。したがって、単に捜査官が認識する場合と異なり、検証令状を要するのであり、捜索を受ける第三者がこのような違法行為を甘受すべき合理的理由は見出すことはできない。

そこで、本件撮影物件に対する写真撮影について以上の点を検討するに、前記認定事実によると、たんすや引き出しを開けた状態及び冷蔵庫を開けた状態をそのまま撮影した点は捜索差押手続きの適法性を担保するために執行状況を撮影する場合に該当すると解され、押収した甲名義の預金通帳が入っていたセカンドバッグに一緒に入っていた原告名義のUCカードの使用控え、原告の財布及び甲の手帳を右預金通帳とともに一括して床の上に並べて撮影した点は、右預金通帳という証拠物の証拠価値を保存するために証拠物をその発見された場所、状態において撮影する場合に該当すると解されるから、右の撮影行為はいずれも本件捜索差押に付随するものとして適法な行為であると解することができる。しかし、その他の写真撮影については、その対象となった物件は本件被疑事件に関して押収すべき物には該当せず、また、押収物の存在した場所にあったものでもなく、さらに、撮影方法としても個々に並べて撮影しているのであり、これらの点を総合してみると、捜索差押の付随処分として認められる場合のいずれにも該当せず、その性格としては検証と評価されるべきものであって、捜索差押許可状によって実施することが許される範囲を超えた違法な行為であり(<書証番号略>)、これにより原告のプライバシーを侵害したものといわざるを得ない。そして、被告小嶋らがこのような行為を行った経緯によれば、同被告らに職務を行うについて国家賠償法一条にいう故意又は過失があったものということができる。

進んで原告の損害の程度について検討すると、本件撮影物件に対する写真撮影は、前記のとおり捜査機関の意図としては捜索差押が適正に行われたことを担保しようと考えたもので、捜索差押の機会を利用して検証をしようという目的を有していたとまでは認められないこと、その態様も占有者である本人の面前において、通常一般市民が所持している日常用品を外形的に撮影したにとどまり、これによって特に知られたくない情報が写真に保存されたというほどのものではなく、また、その写真によって知られたくない情報が第三者に伝わり、何らかの損害を受けたというわけでもないことなどの諸事情を総合すると、その程度は比較的軽微であり、これを金銭に評価すると金一〇万円が相当であると認められる。

五  争点5(行為者個人の責任)について

原告は公務員の公務の執行に違法行為があった場合において、当該公務員に故意又は重過失があるときは、当該公務員個人もその責任を負うべきであるとして被告小嶋、同飯田及び同加藤の責任を求めているのであるが、国家賠償法一条で国又は公共団体に直接責任を負担させているのは、国民の権利が侵害された場合にそれを救済し、国民の基本的人権の保障を実効あるものにしようとする趣旨であるから、国又は公共団体が国家賠償法一条によって直接被害者に対して賠償責任を負担する場合には、右の趣旨に照らし、当該違法行為をした公務員自身に被害者に対する賠償責任を負担させる理由がなく、公務員自身は賠償責任を負わないと解される。したがって、右被告らに故意又は重過失があったかどうかを論ずるまでもなく、右被告らには責任はない。また、前記の本件撮影物件に対する写真撮影の経緯に照らせば、被告小嶋、同飯田及び同加藤に、公務員としての職務の執行に藉口して故意に越権行為をし、あるいは私心を満足させるため私人に損害を加えたという事情は認められないので、この点に関する原告の主張も採用の限りではない。

第四  結論

以上のとおり、原告が違法行為として主張する本件捜索差押許可状の請求、本件捜索差押許可状の発付、本件捜索差押に至る過程での行為、本件捜索差押の執行のうち、本件差押対象物と関係のない物件に対し写真撮影を行った行為は被告東京都の公務員が故意又は過失により公権力を違法に行使し原告に損害を与えたものであり、被告東京都は、国家賠償法一条により、原告に対し右行為によって被った損害である金一〇万円の賠償義務を負うべきであり、原告の請求は右の限度において理由があるからこれを認容し、その余の被告東京都に対する請求並びに被告国、同小嶋、同飯田及び同加藤に対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官相良朋紀 裁判官大塚正之 裁判官渡邊真紀)

別紙押収品目録

一、協和総合口座通帳

(但し甲名義口座番号〇三四八八七、残高六、八一二円のもの) 一通

二、住友総合口座通帳

(但し甲名義口座番号一八八三五四、残高二一五、三二七円のもの) 一通

三、振込金受取書

(但し第一勧業銀行駒込支店発行、甲依頼、金額二〇万円のもの) 一枚

四、振込金受取書

(但し第一勧業銀行駒込支店発行、甲依頼、金額五万円のもの) 一枚

別紙写真撮影目録

一、原告名義のUCカード(クレジットカード)の使用控え 八枚

二、使用済み航空券 二枚

三、財布(訴外甲所有のもの) 一個

四、財布(原告所有のもの) 一個

五、写真(原告及び訴外甲が被写体のもの) 一枚

六、写真(原告とその友人が被写体)

一枚

七、ポケット・ティッシュ 五〜六個

八、時計 六個

九、ライター 六〜七個

一〇、手帳(訴外甲所有) 一冊

一一、ヒゲそり 一個

一二、冷蔵庫の中

一三、引き出しの中

一四、箪笥の中

一五、箪笥の中にある背広(訴外甲所有のもの) 三着

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